河床変動の計算

基本的な計算方法

流砂量式で算定された断面流砂量をもとに、次式の河床の連続式と粒度分布の連続式で河床高及び粒度の変動を推定する。

   ……………………………(6.1)  河床上昇   :      …………(6.2)  河床低下   :      …………(6.3)

ここに、ib:粒径diの砂礫が交換層において占める割合     iB:粒径diの砂礫が流砂中において占める割合     ib0:粒径diの砂礫が交換層直下の元河床において占める割合       :河床の空隙率      a:交換層厚     qin:支川等からの単位幅当りの流入土砂量

 流砂量式によって求められた粒径別の流砂量(掃流砂+浮遊砂)がそのまま当該断面から流出する土砂量になるのではなく、あくまでも計算上流出しうる最大値にすぎない。実際にはその値と上流から流入する土砂量+河道断面区間内に存在する土砂量=流出可能土砂量を比較して小さい方が実際に当該断面から流出する粒径別の流砂量となる。

河道断面の土砂の収支計算及び粒径分布の更新の具体的手順・方法は、「水理公式例題集(土木学会発行)河川編:例題3.16混合砂河道の河床変動(3)変動量及び粒径分布の計算①交換層厚をaに固定する方法」を参照のこと。

ウォッシュロードの取り扱い

○ 浸食傾向の場合 ウォッシュロードの浸食速度式を用いると、非常に大きな浸食速度になり、その結果かなり深い層のウォッシュロードがすべて抜け出すという計算結果となる場合がある。しかしながら、ウォッシュロードの浸食は、BML成分(ベッドマテリアルロード成分=掃流砂・浮遊砂成分)のアーマコートにより移動可能量は規定されるものと考えられる。河床変動計算のタイムステップを大きくとった場合、このようなアーマコートによるウォッシュロード浸食の規定が考慮されないことになるが、これを表現するために、便宜的だが以下のような操作を行う。   ①浸食可能深の算出  ・BML成分は平衡流砂量より浸食可能量を算出(svb)  ・WL成分は浸食速度式より浸食可能量を算出(svw)  ・svw+svb=svtotal ・・・・・・・ (6.4)

②浸食可能深内の成分割合を算出(=svtotalに相当する土砂量を深さに換算したもの) ・浸食可能深内に存在するWL成分の割合(fw)、BLM成分の割合(fb)を算出する

③WLの浸食可能深・浸食量を補正(svw/(svw+svb)>fw)  ・交換層厚をtrとして、tr内の土砂量をtvrとすると、以下の式よりsvwの上限値svwmaxを算出   svwmax=(tvr+svb)/fb-svb ・・・・・・・ (6.5) ・svw>svwmaxの場合はsvw=svwmaxに置き換える  ・svw(置換え前)とsvwmaxとの比率により、svwを低減させる ・低減したsvwをベースに、svtotal等も再設定し、河床変動の計算、粒度の更新を行う。    上記で土砂量はすべて空隙なしの値とする。 ここで、交換層trの上端は、交換層内のWL比率をftwとして

 現況の河床高-BML成分の浸食可能深(svbに相当する高さ)×(1+ftw)

 つまり、交換層厚さtrがBML成分100%となれば、ウォッシュロードはそれ以上抜け出さない。(この時、fw≒ftwと仮定する。) また、(6.5)式については、fbが0になる場合には、補正は行わない。

○ 堆積傾向の場合 ウォッシュロードの対象粒径以外の土砂が堆積傾向にあった場合、堆積する土砂と一緒に空隙に取り込まれる水と一緒にウォッシュロード成分も一緒に河床取り込まれる状況を仮定し、ウォッシュロードの沈降追加量を計算する。 具体的には、「ウォッシュロードの沈降追加量=ウォッシュロード以外の土砂の堆積量(河床での存在量と比較し補正済みのもの)×堆積層の空隙率×ウォシュロード対象粒径の土砂濃度」として求める。

台形断面間の土砂量と変動高さの考え方

図-6.1 台形断面区間の形状

 台形断面の河床幅:Bz=B0+Z×(B1+B2)、初期河床から高さZ分の土砂量:⊿V(z)は ・・・・・・(6.6) ここで、 ・・・・・・(6.7) とおくと、 ・・・・・・(6.8) 例えば、Subroutine DzCalは、土砂量から変動高さZを逆に求めているので、 ・・・・・・(6.9) ○ 初期河床高より上の場合 ・・・・・・(6.10) ○ 初期河床高より下の場合 ・・・・・・(6.11)

複断面の土砂量と変動高さの考え方

 計算上算出された流砂量(最大移動可能土砂量)と移動可能な土砂量(断面内に存在する土砂量+上流断面からの移動土砂量)との差し引きによって河床変動量を求めるが、断面区間内の区間形状は、1つ上流断面との河床幅を考慮したものとする。 図-6.2・6.3にその模式図を示す。断面間の幅の違いを考慮した区間形状を想定して、断面内に存在する土砂量の算出や流砂量の収支から河床変動高さの換算を行う。ただし、複断面の場合、分割断面幅(B・B1・B2)の変化のみを考慮し、断面間の高水敷の高さ(Z1・Z2)の違いは考慮しない。また、洗掘を受ける場合、高水敷は掘れないものとし、低水敷のみが許容洗掘深分だけ洗掘可能とする。

図-6.2 断面区間内の区間形状(複断面)

図-6.3 断面区間内の区間形状(上流が台形の場合)

浸食・堆積による河床の層厚の変化

河床変動によって、河床の層厚と粒径分布に変化が生じるが、表層の粒径分布の変化が下層になるべく変化しないよう層厚の変化を考慮している。以下に従来の処理と現行の処理を示す。

 
tysrba/6.河床変動量の計算.txt · 最終更新: 2011/10/13 17:32 by tys
 
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